第10回日独エネルギー・環境フォーラム エネルギーシステムの脱炭素化

日本は、2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減したいと考えています。また、ドイツでも同期間に温室効果ガスニュートラル化を目指しています。これらの国々が意欲的な目標を達成するためにはどうすればよいのでしょうか?どちらの国も、高度に工業化されています。そのため、特にエネルギー分野での排出量を削減しなければなりません。2019年10月29日と30日に東京で開催された第10回日独エネルギー・環境フォーラムでは、日独の政界、ビジネス界、研究界の専門家約250名が、気候・エネルギー政策や、革新的ソリューションに関する研究の現状について議論しました。このフォーラムは、ドイツ連邦の環境・自然保護・原子力安全省(BMU)、経済エネルギー省(BMWi)、そして日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と経済産業省(METI)が共同主催しています。2日間の会合は、NEDO、ECOS、adelphiが運営しました。

温暖化防止には革新的な政治が必要/strong>
議論は幅広いテーマに及びました。エネルギーと気候変動に関する戦略、そして政治、経済、社会への影響についての意見交換では、再生可能エネルギーを既存のシステムにどのように組み込むことができるのかについても注目が集まりました。また、環境影響評価の問題や社会が再生可能エネルギーを受け入れるうえでの障害についても言及されました。会合2日目に主に取り上げられたのは、熱に関する問題です。専門家は、熱の生成、貯蔵、利用において排出量を削減する数々の革新技術を紹介しました。こうした話により、参加者同士の会話も弾みました。

水素技術による脱炭素化
特に注目されたのは、グリーン水素の可能性です。これは、エネルギーの貯蔵を容易にするうえ、CO2の排出量を増やすことなくことなく電力や熱、輸送などのさまざまな分野を結びつけることができるのです。日本とドイツは、今後どの国がCO2フリー水素の貿易相手国になるかということに、同じように関心を持っています。こうした検討では、水素輸出国となり得る国々が分析されており、それぞれの生産能力やコストが評価の決め手となっています。

さらに深いエネルギー協力の可能性
その後の協議では、日独の協力関係を深めるための幅広い可能性が示されました。その範囲は、水素を利用した電力・ガス分野での事業から、水素を利用した輸送手段の共同研究、水素インフラの開発にまで及んでいます。また、水素は日本やドイツにとどまらず、エネルギー転換の中で重要な位置を占めることになるでしょう。そのため、両パートナー国間や国際競争においてのエネルギー協力の強化も期待されています。

((この文章は以下のウェブサイトから転載:https://www.adelphi.de/en/news/10th-german-japanese-environment-energy-dialogue-forum-decarbonising-energy-systems)

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