第12回日独エネルギー環境・フォーラム

スコットランドのグラスゴーで開催されたCOP26では、今世紀半ばまでに世界経済をカーボンニュートラルにするための戦略やロードマップが議論されました。テクノロジーとイノベーションを牽引するドイツと日本の両国は、世界の「ネットゼロへの競争」の最前線にいます。日独エネルギー・環境フォーラム(EEDF)は、環境やエネルギー関連の重要なトピックについて、両国の政治、産業、科学の関係者が集中的に交流、議論する場として高い評価を得ています。過去の日独エネルギー環境・フォーラムでは、再生可能エネルギーの統合、エネルギー貯蔵、モビリティ分野や産業の脱炭素化の方法などをテーマに取り上げました。第12回目となる今回のEEDFでは、「ネットゼロ」へ向けた都市や自治体の役割に焦点を当てました。

2022年9月6日と7日、ベルリン日独センター(JDZB)において第12回日独エネルギー・環境フォーラム(EEDF)が開催され、日独両国の企業、政府、学界代表者がベルリン日独センターに集まり、意見交換をしました。ハイブリッド形式で行われた2日間のプログラムは、基調講演、パネルディスカッション、そして様々な参加者同士のネットワーキングのための十分なスペースが用意されました。1日目は、日本とドイツのエネルギー・気候保護戦略とそれに関連する都市・自治体の役割がテーマとして取り上げられました。主催者・後援者を代表して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)会長の石塚博昭氏とベルリン日独センターのユリア・ミュンヒ氏が挨拶した後、経済産業省首席国際カーボンニュートラル政策統括調整官の南亮氏と連邦経済・気候保護省(BMWK)気候保護・エネルギー転換、二国間協力、国際エネルギー機関副局長のウルズラ・ボラック氏がそれぞれの脱炭素戦略の現状を説明しました。続いて、環境省地球環境局特別国際交渉官の瀬川恵子氏、連邦環境・自然保護・原子力安全・消費者保護省(BMUV)国際・欧州政策局局長のエヴァ・クラハト氏が、気候危機への対応と気候ニュートラル達成のための重要なプレーヤーとしての都市の特別な役割について説明しました。また、フェリックス・クロイツィヒ教授(グローバル・コモンズと気候変動に関するメルカトル研究所)の基調講演をはじめとして、東京都、ベルリン市、慶応大学、NEDOの代表者による、異なる視点からの活発なパネルディスカッションが行われました。初日の最後には、テーマ別に構成されたネットワーキング・セッションで、参加者はそれぞれ関心のあるテーマについて深く掘り下げて情報交換を行い、ネットワークを広げる機会を持ちました。

2日目の会議は、カーボンニュートラル都市のための有望な技術やコンセプトに焦点を当て、2つの分科会に分かれて行われました。分科会で議論された主なテーマは、自治体のエネルギー管理、持続可能な都市モビリティ、水素プロジェクトの実施、循環型経済分野からのアイデア、異なる環境を持つ都市や生活圏(大都市、大都市圏、港湾都市、農村地域)の「ネットゼロ」達成の戦略でした。ドイツ都市問題研究所(Difu)のウルリケ・フォルヴェルク氏とNEDO欧州駐在員事務所の今里和之所長が一日をリードしました。各分科会では、世界の都市が直面する喫緊の課題に対応するための革新的なアイデアが数多く紹介されました: 持続可能な社会を実現するモビリティ・ソリューション、都市内物流を管理・制御するデジタルデータプラットホーム、住宅地に統合された水素製造、データセンターからの廃熱など、多くの持続可能な技術やプロジェクトが発表されました。専門家による有益な情報提供、会場やスクリーンでの参加者の積極的な参加により、洞察、議論、そして出会いに満ちたイベントとなりました。

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